こんにちは!
Star Brain Academy の津久井(つくい)です。
新企画「プロジェクト:未来への架け橋」も2回目の投稿です。スターブレイン会5月度は、卒業生と現役Star Brain Academy生も参加しています。プロジェクト目的は次の3つです。
- 中高生と社会経験者や大学生をつなぎ、縦(年齢)と横(ジャンル)の繋がりを増やすこと
- これから先の人生を考えるための、中高生にとってのヒントを得て、将来の選択肢を増やしてもらうこと
- 世の中の仕組みなどを、具体的な経験談を通じて学んでもらうこと
ここでは、商社にお勤めの経験があり、海外勤務も20年以上ある野瀬さんをお招きしています。
お話いただいたテーマは次の4つです。
- 日本の会社について
- 金属について
- 日本と海外について
- Q&Aコーナー
前回は、「日本の会社と商社について」と「興味のある金属を仕事にすること」(クリックすると、別ウィンドウが開きます)というテーマについて記事を書きました。
今回は、「日本と海外」「Q&Aコーナー」を紹介します。
それでは参りましょう!
3.日本と海外について
次のテーマは「日本と海外」。野瀬さんは合計23年も海外勤務の経験がおありで、中国は18年。オーストラリアでも勤務なさっておられたので、中国・オーストラリアの話を中心に進めます。
中国
18年も勤務なさっていただけあって、中国のお話は多岐に渡りました。簡潔にまとめると…
・食事は美味しい
・65歳以上の人口は1億人以上いて、お年寄りを大切にする
・競争社会なので鍛えられた結果、世界でも戦える人材が多い
・辛抱弱く、喧嘩っ早い
・環境汚染がひどい
中国の話では、何と言っても食事ですね。上海・北京・広東・四川と一般に「4大中華料理」と呼ばれるものの違いや、日本人にあっている料理まで様々に話をしていただきました。食べ物の話は大好きなのですが、膨大な量になってしまうのでここでは割愛します(笑)。印象に残っている話では、「上海ガニ」。高級食材で有名な上海ガニですが、このカニは繁殖力が非常に高く、たいていの気候で生育が可能なんだとか。船のコンテナに潜り込んでいた上海ガニが、目的地に到着した時にはワサワサと繁殖していたという話は、驚きでした。
次は「人口」です。日本の10倍以上の人口を有する中国ですが、65歳以上人口はなんと1億人! 日本人がほぼそのままいるんですね。儒教の影響もあってか、お年寄りをとても大切にする国だそうです。
人口が多い影響として、「競争社会」が挙がっていました。人数が多いから、必然的に競争も激化するわけで、北京大学や清華大学(昔は文系の北京大、理系の清華大というイメージが一般的でした)では、入試の倍率が100倍を越えるようです。東京大学の倍率が3倍前後ですから、その違いは歴然たるものですね。
対照的に、辛抱強くなく、喧嘩っ早いという点もあります。一人っ子政策の負の側面として、甘やかされているために、自分の思う通りにならないと我慢がならない人が多かったそうです。結果、喧嘩に発展することも。
最後は「環境汚染」。食事のマナーが日本とは全く異なっている点や、廃棄に対する考え方など、環境汚染が進んでしまう文化的な側面をお聞きしましたが、少し時代を遡ってみると、日本も同じように公害に悩まされていた時代がありました。オリンピックや万博のような国際大会や展示会を契機に、都市全体が綺麗になっていくのはよくあることのようですね。日本で言うと東京オリンピックと大阪万博がきっかけになって綺麗になっていったように、2008年の北京オリンピックと2010年の上海万博を経て、少し綺麗になったようです。
オーストラリア
実は今回、お話を伺う際も、オーストラリアから帰国なさった直後にお越しくださいました(フットワークが軽い!) 今でもオーストラリアは、行き来なさっているようです。要点をまとめると…
・気候、人柄、治安が良い
・食べ物が美味しい
・資源が多い
・働き方がもったいない
・刺激が少ない
気候・人柄・治安が良いという点は素晴らしいですね。確かに、ワーキングホリデーなどでもオーストラリアは鉄板の地域ですから、これらの点は納得がいきます。オーストラリア料理はあまり知らないのですが、食事も美味しいとくれば、住むのにも、観光にも理想的ですね。
加えて、資源が多いという特徴もあります。石炭・天然ガス・ウランといったエネルギーから、鉄鉱石やボーキサイトや金などの鉱物資源まで、世界有数の埋蔵量です。
一方、豊富な資源という状況に甘んじている点は否定できない、とのこと。せっかく資源があるので、それらを加工して輸出すれば良いのですが、ゆったりとしたお国柄が故か、その流れがなくてもったいないと感じていたそうです。そういった面も含めると「刺激がない」と感じる人もいるようですね。
4.Q&Aコーナー
野瀬さんにお話を伺ったのちに、参加した高校生と大学生から質問する時間を設けました。Qが学生側からの質問で、Aが野瀬さんからの回答を表します。
Q:語学学習や実践で大切な点は?
A:うまく話そうとすることよりも、中身と気持ちをしっかりと。発音がよいことも大事だが、内容が伴っていることが重要。仮に、言葉が出なくても、身振り手振りで伝えようとして、気持ちが通じると気持ち良いですよ。
Q:世界で働く時に必要なことは?
A:日本のことを知っていることが大事。これは、海外に出た時に限らない。例えば、2020年の東京オリンピックでは、日本に興味を持っている人が来るはずで、そういう人たちに日本のことを説明できることも必要になって来るでしょう。
Q:日本の良さは?
A:忍耐強さ、勤勉さ、真面目さ、時間が正確なこと。いざ、日本に戻って来るとそうでない人もいますけどね(笑)。なので、海外にいる時に感じる「日本っていいな」という気持ちが好きですね。後、日本の報道番組はすごく優秀です。テーマについて深堀りするレベルがすごいと思いますね。
Q:海外で働いたり、住んだりする際の、アドバイスは?
A:NOと言える日本人になること。日本では阿吽(あうん)の呼吸で通じてしまうが、海外では発言しないと伝わらないし、発言しない人は軽蔑される。海外に行ったら図々しくすること。
Q:海外でオススメの場所は?
A:住むならマレーシア。シドニーも良い。ただ、シドニーは気候は良いけど、日差しが強いので、目を悪くしないように注意が必要。文化を感じたいなら、やっぱりヨーロッパかな。オランダなんて良いですよ。
Q:最近AIに人間の仕事が奪われるという話がありますが、どうお考えですか?
A:40%は無くなるんじゃないですか。株のディーラーはすでにAIに変わってきていますし。ただ、TOYOTAでは技術継承のために、あえて人にやらせている部署もあるみたいなので、考え方によりますね。大事なのは、こういった変化を「面白い」と思えること。商社ではそういったマインドを持っている人が多いかな。
Q:人生の変化点で大事なことは?
A:縁と運でしょうね。あとは、決断。やると決めたら後悔しない。それは自分が決めたことだから。人間力って言うのかな、変化への対応だけでなく、変化を作り出せるようになることが大事。
さて・・・・気がつけば、3時間!
世の中の仕組みや会社の違い、働くことの意味であったり、世界から見た日本といったテーマなど、ご自身の体験に基づいたお話を伺わせていただきました。野瀬さんには感謝のしようもありません。
本やネットで調べることも大事なのですが、直にお会いしてお話をすると、その人の声のトーンや雰囲気など、それこそ「気持ち」が伝わってきます。
参加した高校生たちも、刺激を受けたようで、次のような感想を述べていました。
- 世の中ってまだまだ知らないことがあるな
- 仕事って楽しそうだな
- 自分もこんなことやってみたいな
- 今勉強していることが、こうやって実社会で生きてくるんだ
人と人が場を共有して、思いを伝え合う。今では、ネット上で様々なことができますが、この未来への架け橋プロジェクトは、昔ながらの寺子屋式で行くことに意味があるのだなと、感じた次第です。
今後も、様々なジャンルで活躍なさっている方をお招きして、自分の未来を考えるきっかけづくりをしていきます!
それでは!!