「便利?危険?食品添加物 ~加工肉の発ガン性メカニズム~」
◆加工肉や赤肉には発ガン性がある!?
国際ガン研究機関(IARC)が2015年10月に「加工肉は人にとって発ガン性がある」という評価を発表しました。
IARCは世界保健機構(WHO)の組織でガンの原因となる物質や環境要因、生活習慣などを特定し、科学的根拠の強さを評価して5段階に分類しています。
表1. IARCの発ガン性5分類
今回対象にしたのはハムやベーコン、ソーセージといった「加工肉」と、牛、豚、羊、ヤギなどの「赤肉」の二つです。
加工肉は「人に対して発ガン性があり、大腸ガンの原因になる」と結論付け、根拠の強さで一番上の「グループ1」に分類しました。
赤肉は「人に対して恐らく発ガン性がある」として、根拠の強さが2番目の「グループ2A」に分類しました。
主に大腸ガンとの関連を認め、「膵臓ガンと前立腺ガンとの関連も見られる」としました。
この分類は「発ガン性があると判断できる科学的な根拠の確からしさ」によるもので、ガンになる確率の高さを示しているわけではないとしています。
しかし、
同じグループのたばこやアスベストと同等のリスクがあるわけではないとは言っているものの、明確に発ガン性があると発表
したわけです。
表2. IARCの発ガン性データ分類
マクガバンレポートを知らない一般の方からすれば、加工肉や赤肉に発ガン性があるとする突然の発表にビックリされたのではないでしょうか?
さらに、加工肉と赤肉、同じお肉という分類にもかかわらず、加工肉の方が上のグループに分類されたのはなぜでしょうか?
◆加工肉の発ガン性メカニズム
IARCは具体的な見解を出していませんが、おそらく加工肉に使用されている“食品添加物”が何らかのガン誘発因子になっているのではないかと考えられます。
マクガバンレポートによれば、
ガン発生のメカニズムは発ガン性物質によってガン細胞が発生し、動物性タンパク質(つまりお肉)の摂取によってガン細胞をガンという病気に成長させる
というものでしたね。
では、加工肉にはどのような食品添加物が使われているのでしょうか?
ハムやベーコン、ソーセージといった多くの加工肉に亜硝酸ナトリウム(Na)という食品添加物が使用されています。
致死量は0.18g~2.5gで、これは猛毒である青酸カリの致死量0.15gに相当します。
そのため、食品に一定量含まれると中毒を起こすことから厳しく制限され、食品に含まれている亜硝酸ナトリウムは微量なので直接的な問題はないとされています。
この添加物を使用する目的ですが、一つはハムなどの見栄えを良くするためです。
ハムやソーセージは酸化しやすくそのままだとすぐに黒ずんでしまうので鮮やかなピンク色にして見た目を良くし、おいしそうに見せるためです。
そしてもう一つ亜硝酸ナトリウムを使用する意味があります。
それは、加工肉を製造する際にボツリヌス菌の発生を抑えるためです。
ボツリヌス菌による食中毒は致死率がかなり高いため、亜硝酸ナトリウムを使用することによりそれを防ぐ目的があるのです。
(そこまでして加工肉を食べなければ良いのにというツッコミはおいておいて)このような理由により亜硝酸ナトリウムを使用しても仕方がないと思われるかもしれません。
ところが、
亜硝酸ナトリウムは肉や魚類に含まれるアミンという物質に反応してニトロソアミン類に変化します。
そして、このニトロソアミン類は今のところ動物実験ではありますが、強い発ガン性が認められている
のです。
動物実験では、ラットのエサに微量のニトロソアミン類を混ぜて長期間与えたところ高確率で肝臓がんや腎臓ガンが発生することが確認されているということです。
さらに、お弁当などでよく見かける赤いウィンナー、この赤い色はタール色素(赤色3号、赤色102号)という合成着色料がしばしば使われています。
タール色素はその化学構造や動物実験からいずれも発ガン性や染色体異常が指摘されていて、食品衛生法ではたらこやハム・ソーセージ、かまぼこなどに使用が限定されている色素
なのです。
赤色102号は子どもにじん麻疹を起こすとして皮膚科の間では注意が呼びかけられており、赤色3号はラットに投与した実験で甲状腺の腫瘍の増加が心配されています。
もちろん、食品に使用が許可されている食品添加物の量はラットで無害が確認された量の百分の一以下の量と厳格に使用基準が定められています。
とはいえ、亜硝酸ナトリウムのように食品添加物が別の物質と反応して有害な物質に変わる可能性を考えると手放しで喜んで食べ続けるのは避けた方が良いでしょう。
◆現代人の食生活には添加物が不可欠!?
今回は、加工肉について取り上げましたが、安くて早くて美味しい?加工食品には食品添加物がつきものです。
コンビニやスーパーで売られている“食品の裏側”にある表示を見てみて下さい。
必ずといって良いほど食品添加物が含まれています。
つまり、
現代人は望もうと望むまいと知らず知らずのうちに食品添加物を体内に取り入れてしまっている
ということです。
うまみを付加する調味料、賞味期限を延ばす保存料、見た目や味の劣化を防ぐ酸化防止剤、このような食品添加物がもたらすメリットは絶大です。
しかしながら、その一方で
食品添加物はそのほとんどが化学物質であり、微量かつ単体では無害と言われていても、体質や複合要因で有害となりうるものである
ということを覚えておいていただきたいです。
表3. 代表的な食品添加物
◆知っておくべき食品の裏側
外食もせず、毎日ごはんとみそ汁で和食を食べているから大丈夫!という方も味噌やしょうゆ、だしの素などの調味料に添加物が含まれていないでしょうか?
毎日食べるものには極力身体に影響があるものは取り入れたくないものですね。
食品添加物について興味を持たれた方におススメなのが「食品の裏側(安部司著)」という本です。
・ドロドロのクズ肉が30種類の添加物でミートボールに蘇る
・しょうゆ風調味料というニセモノ
・コーヒーフレッシュの正体
食品添加物の元トップセールスマンが明かす食品製造の裏側は、私たちに警鐘を鳴らしています!
“安いものには必ず理由がある!”ということが良く理解できると思います。
◆まとめ
・IARCによれば加工肉や赤肉の発ガン性について十分な科学的根拠があると言える。
・加工肉に使用される亜硝酸ナトリウムは、アミンと反応して強い発ガン性を示すニトロソアミンに変化してしまう。
・和食中心の食事であっても加工食品や○○風調味料に注意すべし。