こんにちは!
Star Brain Academy の津久井(つくい)です。
毎月、卒業生を招いて開催している「スターブレイン会」ですが、5月度は少し趣を変えて実施しました。
今回は、Star Brain Academy の卒業生だけでなく、今通っている高校生も参加して、世の中を知るためのアクティビティを開催しました。
その名も「プロジェクト:未来への架け橋」です。
Star Brain Academyの生徒(中高生)を対象に、様々なジャンルで活躍なさっている方をお招きして、世の中の仕組みや働くことの意味など、多岐に渡ってお話をしていただく企画です。また、参加者にStar Brain Academyの卒業生(大学生・社会人)も加わって、縦の人的ネットワークも広げることも視野に入れています。具体的には、次の3つを意図しています。
- 中高生と社会経験者や大学生をつなぎ、縦(年齢)と横(ジャンル)の繋がりを増やすこと
- これから先の人生を考えるための、中高生にとってのヒントを得て、将来の選択肢を増やしてもらうこと
- 世の中の仕組みなどを、具体的な経験談を通じて学んでもらうこと
記念すべき第1回は、塾長 建島の先輩 野瀬さんをお招きしました。
野瀬さんは、大手商社の海外勤務を経たのち、現在は金属材の製造開発に勤められています。海外勤務地は主に中国で、なんと計23年も勤務なさっていたそうです!! 世界をまたにかけて活躍なさっていただけあって、バイタリティー溢れる方ですが、とても気さくで場の雰囲気もすぐに和み、楽しくお話をさせていただきました。(そういえば、移動の飛行機内でAKB48の音楽を聴いて、とても気に入ったと話していました(笑)アンテナが広いですね!)
今回は、高校3年生が2人、高校1年生が1人、大学生が2名参加して、次の3つのパートに分けてお話をしていただいた後、質問の時間を設けました。
- 日本の会社について
- 金属について
- 日本と海外について
- Q&Aコーナー
内容満載でかなり長くなってしまうので、2回に分けて上の4つの項目を紹介していきます。
では、それぞれのパートに分けて、お話の内容を紹介していきます!
1.日本の会社について
最初のパートは「日本の会社について」。
早速野瀬さんから、問題が出ました。(せっかくなので、皆さんも考えてみてください)
Q:日本には会社が何社あるでしょうか?
すぐに正解を書いてしまうと、面白くないので…… 正解はもうちょっと先に書くとして、、、
ちなみに、日本にある会社の9割以上は中小企業、大企業は1割にも満たないそうです。
そもそも会社とは何か?
会社は慈善事業とは違います。つまりは、「利益」をあげる必要があります。では、どのように利益をあげるか、というと、何かしらの商品を作り上げて、それを売ることによって利益を得るわけです。
製造業はイメージがつきやすいですね。例えば、TOYOTAなら自動車を、Panasonicならば家電などの商品を作り利益をあげます。銀行ならば、「お金」という商品を、証券会社は「株」や「債券」を商品として扱って利益をあげます。
ただ、商社は少し違います。この事業形態は日本に独特なもので、商社は、商品を作るのではなく、商品をどこかから入手して必要とする相手に渡すことがメインの仕事です。特に、巨大商社(総合商社と呼ばれます)では「ラーメンからミサイルまで」と表されるように、公序良俗に反しない限りどんなものでも扱えるんですね(ミサイルは……いいのでしょうか?(笑))
※ 商社は、総合商社と専門商社があり、野瀬さんは前者に勤めておられました。あえて、「商社」を英語にするとtrading companies(貿易をする会社)となりますが、総合商社はsogo shoshaでも通じるようですね! 専門商社は、特定の商品に特化した商社です。
商社って何をやってるのか?
商社の仕事は、いろいろなものがありますが、その中でも特徴的なものを3つ伺いました:情報機能、金融機能、オーガナイズ(組織・編成)機能
それぞれを具体的に見ていきますが、時代の変化に合わせて、それぞれの仕事(機能)も変わっていますね。
・情報機能
例えばある商品を扱いたいと思った時、昔ならば商社に聞きに行ったそうです。そこで、商品の入手法や金額などの情報、さらにはどこに出店すれば良いかの情報まで聞いていたそうです。
しかし、IT技術が進んだ現在では、純粋な情報だけならインターネットで入手できます。そこで、最近の商社には、正しい情報の収集や分析といった判断基準が求めらています。
・金融機能
いわゆる「お金」の「融通」ですね。この機能も商社は持っていましたが、金融の自由化によって状況は変わったと野瀬さんは話ししていました。
最近では、プロジェクトに対しての融資(プロジェクト・ファイナンス)など、時代にあった金融の方法が考え出され、実践されているようです。
・オーガナイズ機能
国際的なプロジェクトなど、大規模なものだと、多くの企業が関わってきます。そんな時に、国内外のネットワークを駆使して、必要な能力を持った人材や企業を集め、組織化(オーガナイズ)する仲介役としての機能を持っています。
今の総合商社
このパートの最後に、今の総合商社はどんな特徴があるかをお聞きしました。主には以下の3点が挙げられます。
・事業スケール
オーガナイズ機能でもわかるように、今の総合商社が扱う事業は、かなり大きくなってきています。また、事業に融資するといった「金融」機能だけならば、投資銀行でも行えますが、商社だとそこに「商品」を絡ませることもできます。その意味では、より複合的、かつ大規模なプロジェクトができそうですね。
・時代を反映した立ち回り
1つ目とも関わりますが、2000年代初頭から、資源事業が盛んになったそうです。そうすると、売り上げがそれまでに比べて1桁も増加したそうです。以前のように、企業と企業と繋ぐだけよりも、より利益をあげる事業を常に探して、時代とともに変化しているそうです。
・文系? 理系?
部署にもよるそうですが、理系の夢を叶えることができるとお話しなさっていました。扱う商品や分野に対する専門知識は、当然のごとく強みになりますね。また、日本は「就社」、海外は「就職」と表現されるように、日本は「ある会社に勤めて、その会社カラーに染まる」といったイメージが強いです。総合商社は、1年間海外に派遣して、語学研修をみっちりと行わせるところもあるそうです。こういった点は、大企業の余裕と言うか、強みでもありますね。
ちなみに、日本の会社の数は400万です。
2.仕事と金属について
野瀬さんは、商社でも、その後の職業でも、「金属」関連のお仕事に就いておられました。なぜ、商社だったのか、なぜ金属だったのか、そして仕事で大事なことは何かといったことをお聞きしました。
なぜ商社か?
その答えはズバリ、「父親が総合商社に勤めていたから!」
身の回りにモデルケースとなる人がいて、その人への憧れが実現するというケースですね。ご両親やご親戚、さらには近所づきあいを通して、様々な仕事を見聞きする中で、仕事への具体的イメージが膨らんでいき、「自分もそうなろう!」と考えるきっかけになります。そもそも、「憧れる」と思えるような大人が周辺にいる。これが非常に大事なことに思えます。
ただ、最近は核家族化が進み、親戚関係や近所づきあいも希薄… そうなってくると、自分の周りにモデルとなる人が少なくなってしまい、「仕事」というものが遠く離れたものになっているように感じます。
そんな状況をどうにか改善しようと始まったのが、今回のプロジェクトでもあります。
金属関連の仕事って?
なぜ「金属」に興味を持ったのかを伺うと、「小学校の時に “ウッド合金” を目にして興味を持った」とのこと。
ウッド合金? 木?? 合金???
…などど考えていましたが、全然違いました^^; 発明者がマサチューセッツ工科大学のウッド博士だったので、そのネーミングだとか。デモンストレーションでは、「コーヒーの温度で溶けるスプーン」を披露したとか。。。それじゃ、砂糖もミルクも混ぜられない(笑)というか、そもそも飲めない…
画像を見てもらうとわかると思いますが、なんと金属なのに融点70度!! ターミネータのT-1000みたいな液体金属ですね。
ともあれ、この合金との出会いがきっかけで金属に興味を持ち、その興味が仕事になったそうです。
日本は資源が少ないですから、原料を輸入して、加工品を輸出する「加工貿易」が基本です。金属を扱いつつ、トレード(貿易)ができるという点で、商社は最適ですね。
その後は、金属の圧延(圧力をかけてローラーで延ばす加工)の会社に勤めておられます。「延ばすだけ?」と思いきや、その精度がすごいのです! 例えば、スマートフォンの中で使われているものは、薄さ10ミクロン、幅2-3mmに加工されているそうです!! 下町ロケットのように、素晴らしい技術を持っている会社が日本には、ゴロゴロとあるのですね。
仕事で大事なこと
仕事について話を進める中で、「仕事で大事なことは?」というテーマに至りましたが、この回答はシンプルかつ普遍的でした。
仕事で大事なこと = 人間関係
「仕事は1人ではなくみんなでやるもの。楽しい仕事であっても、嫌な人とやっていると楽しくない」ともお話なさっていました。やっぱり「人」なんですね。
その意味では、同じ業種・職種でも、企業カラーというものがあります。カラーが違えば、集まる人も違います。これは「組織の三菱、人の三井」という言葉でもわかりますね。総合商社は一般に、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日ですが、興味のある会社のカラーを調べてみると良いですね。
また、楽しかった仕事も伺いました。スズの取引が楽しかったそうで、当時は日本でスズを扱っているのは3-4社しかなかったそうです。「自分が日本のスズを動かしている」という高揚感の中、毎日真夜中まで仕事をしていた時は、充実して楽しかったと追慕なさっていました。
いかがでしたか? 今回の話をまとめます。
- 商社は、日本独特の企業形態で、情報機能・金融機能・オーガナイズ機能などの機能を持っているが、その機能は時代によって変わっているので、時代に対応することが必要。
- 400万ある会社の中から、身近な人に憧れて会社を選んだり、自分の興味が実現できる会社を選択することもできる!
- 仕事で大事なことは、何と言っても「人間関係」!
次回は、「日本と海外」とQ&Aコーナーを紹介します。
お楽しみに!